コッコと私の出会い【第6話】
2つの理想と現実
いつもありがとうございます。
とても暑かった夏も峠を越え、少しずつではありますが、朝晩はは少しずつ涼しさを感じるようになりました。
とはいえ、まだまだ残暑が続くようですので、どうぞご自愛くださいませ。
さて、今回も私の20代の経験についてお話しします。

薄暗い養鶏工場から脱走した鶏が、太陽の光を浴びて雑草をついばんでいる。
その姿をみた瞬間、「自分がしたい養鶏はこれだ!」と決心しました。
理想の養鶏スタイルを見つけた私は、有頂天になって父に「放し飼い養鶏をしたい」と相談しました。
父は私の話に耳を傾け、理解してくれました。
ただ、回答は「理想はそうだが今は無理」。
当時は非常にショックを受けましたが、今考えると父の考えは正しかったと思います。
効率化を図るために大きな投資をして大規模化を進めていたところに、まったく反対のことをしたいという提案です。
しかも仮に飼育羽数を 10分の1にして、すべてを平飼いにした場合、その手間やコスト増は計り知れません。
そして何より、それだけの卵をご購入いただけるお客様を見つけることは容易ではありません。
今のようにインターネットが普及していない頃でしたので、本当に甘い考えでした。

当時は新聞に掲載される鶏卵相場を基準に取引されていましたので、品質は二の次の時代です。
まして毎日生まれる 10万個もの大量の卵を購入いただけるのは都市部の問屋さんしかなく、「他より安かったら買います」という価格競争に巻き込まれるのがとても嫌でした。
農産物の相場が需要と供給のバランスで決まるのは、今も当たり前のことです。
ですが私は、その当たり前ではない方法があるはずだと考えており、「自分が大切に育てた鶏の卵を大切なお客様に直接お届けしたい」という気持ちが、この頃から芽生えていました。
しかし残念ながら、その時の私にはなんの力もなく、時の流れに身を任せることしかできませんでした。
そして数年が経ち、近代化の理想のもと立ち上げた大規模養鶏場も、価格競争の波に打ち勝つことができず、事業を縮小せざるを得なくなりました。
養鶏に夢を持てなくなった私自身も父が経営する会社を退職し、この業界から身を引くことを決意したのです。
感謝
次回へ続く
- 投稿者:
- kikaku











