コッコと私の出会い【第7話】 | 大江ノ郷自然牧場_読みもの

井の中の蛙

10月に入りすっかり秋めいてまいりました。
この秋もコッコは餌をもりもり食べて、美味しい卵を産んでくれることと思います。
では今回も、当時20代の私がコッコに出会う前のお話です。

社会人七年目、養鶏一筋だった私にとって初めての転職です。
転職先を探していた時、声をかけてくださる方がいました。
兵庫県で雛の販売会社を経営されている、鳥取出身の父の古い知人でした。
以前、岡山の養鶏場で頑張る私を見てくださり、お声かけいただきました。
評価していただけたのが嬉しく、その会社で働く決意をしました。

就職を決めたことを両親に伝えると、母はとても喜んでくれました。
父は何も言いませんでしたが、少し寂しそうにしていたように思います。

この方との出会いがなければ、養鶏の仕事を続けることも、大江ノ郷自然牧場を創業することもなかったと思います。
この決断が人生の大きな転機になりました。

その後、定年まで頑張るつもりで兵庫県へ移住。
養鶏業界は、種鶏を飼育し雛を孵化させる専門業者と、雛を育て採卵する養鶏農家に分業されており、入社したのは雛を育てる1%側でした。
納品作業の手伝いも、大事な仕事の一つでした。

それまで、他の養鶏場がどのような経営をされているのかを知りませんでした。
この会社で初めて、様々な養鶏スタイルがあることを知ったのです。

百万羽以上を飼育する大規模な企業養鶏から、数千羽の家族養鶏まで規模も様々。
また、規模の大小にかかわらず従業員さんを大切にされる会社もあり、こんな会社で働きたいな、と思っていました。
今思うと、この経験も今に生きています。

一番驚いたのは、私が理想としていた「大事に育てた卵を、大切なお客様に直接お届けする」養鶏農家が、数多くおられたことです。
平飼いで鶏を飼われている農家もありました。
絶望していた養鶏業界で、やり方次第で理想の形を実現できることを知り、今まで井の中の蛙だったと思い知らされました。
とはいえ、サラリーマンとして頑張ろうと思い、その後も農家さんのお手伝いをしていました。
この間の仕事も、結果として養鶏技術の向上に繋がりました。

それから1年半が過ぎた頃、私の理想の養鶏をされている農家さんに、放し飼い養鶏をしたかったことを話したところ、「やってみたら良いやん。小原くんならできるやろ」と、思いもよらぬアドバイスをいただきました。

言われてみると、父の百分の1の規模でも、自分で販売すれば自分一人なら食べていけます。
設備投資も中古ならなんとかなりそうです。
その瞬間から、消えていたはずの放し飼い養鶏への情熱の炎が、小さく燃え始めました。

それから、夢を叶えるため、放し飼い養鶏や餌の配合について勉強をしました。
サラリーマンになって2年足らずで、安定した生活を捨て「理想の養鶏を始める」決心をしたのです。
その時28歳。 私にとってとても大きな決断でした。

感謝

         次回へ続く

投稿者:
kikaku

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