だし巻き誕生物語~親子二代の思いをのせて~ | 大江ノ郷自然牧場_読みもの

だし巻きで重なる親子の夢。

文:小原 利一郎

私たち牧場は、天美卵から始まり、お菓子やパン、食品などを開発・販売してきました。
ひとつひとつ全ての商品に思いと物語があり、お客様に喜んでいただきたい一心で作った大切な商品ばかりです。
そんな中でも、どうしても作りたいと思った商品がありました。それこそが「だし巻き」です。

どうしても作りたかった理由、お恥ずかしながら私がこの世の中で一番好きな料理だからです。
人生最後の晩餐があるとしたら「天美卵のだし巻き」を食べたいと決めているほど大好きなのです。
そのため、いつかは天美卵で日本一美味しいだし巻きを作りたいと思っていました。

そしてもう一つの理由は、他界した「父の夢」でもあったからです。
父は生前から食品づくり、その中でもだし巻き作りに夢を抱いていました。
その夢を私たち家族は何度も聞いていたのですが、当時の私たちにとってもは食品作りは難しかったこともあり、反対をしていました。

私は父から独立して大江ノ郷自然牧場を創業し、卵づくりをしていたのですが、年を重ねるごとに、父と同じように食品作りにチャレンジしたくなってきたのです。
親子はやはり似ているのかもしれません。
父が作りたいと言っていた時は反対していたのに、今では父の気持ちがわかるようになりました。
とはいえ、だし巻きづくりには技術が必要なため、簡単ではないことは充分承知しています。
好きだからこそ中途半端ではだめだという思いがあり、だし巻き作りを半ばあきらめていた時もありました。
しかし父の夢でもあった「だし巻き」を、夢のままで終わらせたくないと思いが募り、挑戦することにしたのです。

この思いを後押ししてくれたのは、ひとりの男性社員でした。
彼の父も、だし巻き職人でした。
残念ながらすでに他界しておられるのですが、彼は子供の頃から、ずっと父が働く姿を見てきたと話してくれました。
その話を聞いていたので、だし巻きを作る時は、彼に託そうと決めていました。

彼は料理人経験はありませんでしたが、私の期待に応えようと、とても頑張ってくれました。
しかし最初は失敗の連続…。
そんな中でも彼はくじけることなく、いちから出汁をとり、何度ともなく腱鞘炎になりながらも何百何千本も焼き続け、一年後には、私たち親子の夢だった素晴らしいだし巻きを完成させてくれたのです。

完成した天美卵のだし巻きは、口に入れるとじわ~っと出汁が染み出し、天美卵のコクを感じられる美味しさです。
私たち親子二代の夢を乗せて完成した「天美卵のだし巻き」、ぜひお召し上がりいただけますと幸いです。

投稿者:
Hiroko Takaki

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